満を持して募集が開始されたFundsですが、文字通り蒸発するがごとく案件が埋まった模様です。
さて、そんな中でアイフル案件について前回の投稿は取り急ぎ書き綴ったものなので、もうちょっと詳しく検証してみたいと思います。
ファンドスキームについて、私の解釈は以下のようになります。
・アイフルがファンド組成、Fundsを通じて投資家から資金を募る
・連結子会社たるA社へ貸し付けを行う(リコースロン)
・A社の取り扱うビジネスローンの原資として扱われる
・A社はビジネスローンから得られる収入を原資とし利払い、元本返済を行う
・リコースローンなので、A社が貸し付けた個別案件リスクはA社が負う
・A社が破たんした場合、元本毀損が発生する可能性が高い
・アイフルは本案件の利払い及び元本への連帯保証をもたない
以上のことから本案件は「東証一部上場企業アイフルの連結子会社A社の私募債」ということになるのでしょう。
多くの投資家が誤認しそうですが、アイフル発行社債とは別の性格の商品であることに注意してください。連結子会社ですから最大限の努力はするのでしょうが、いざとなったら切り捨てることもありえる、という可能性が無いわけではない、ということと私は認識しています。
本案件紹介ページでは、アイフルが昨年募集した社債を比較(これこそ誤認の元凶では?)に出しています。この私募債は格付けBB(Bloomberg2018/09/14記事より)であり、BB格は投機的格付けもしくはハイ・イールド債と呼ばれるカテゴリーとなります。
以下、野村證券・用語解説から引用
投機的格付け(とうきてきかくづけ)
格付け会社が債券に付与する格付けのうち「BB」格以下の格付けのこと(日本のR&Iや米S&P、フィッチなどの場合。米ムーディーズでは「Ba」格以下)。信用リスクの高い格付けで、「投資不適格格付け」ともいう。相対的に信用リスクの低い「投資適格格付け」と対比される。
一般的に、投機的格付けを付与された債券は投資適格債と比べて債務不履行の可能性が高い分、高めの利回りが期待できることから「ハイ・イールド債」と呼ばれる。
アイフルが直接発行する私募債ですらこの格付けですから、A社が対象となると信用格付けはBBより下になるのでしょう。
※要するにソシャレンってハイリスクなジャンク債だらけなんですよね、たぶん。
※視点を変えて考えれば、それだけ日本は金利が低いということかと。
では次に「アイフル連結子会社のA社」について検証してみましょう。ぶっちゃけていってしまえば前回投稿で検証したようにビジネクスト株式会社なんでしょうけど。
Fundsでは以下のように紹介しています。
本社所在地 | 東京都港区 |
---|---|
設立 | 2001年1月18日 |
資本金 | 1億円 |
上場・未上場 | 未上場 |
財務情報 | 財務情報 |
特記事項 | アイフル社の連結子会社 |
ビジネクスト株式会社の会社概要は次の通り
商 号 | ビジネクスト株式会社(英字表記:BUSINEXT CORPORATION) |
---|---|
本社所在地 | 東京都港区芝2丁目31-19 |
TEL & FAX | TEL. 03-4503-6300 FAX. 03-4503-6310 |
設 立 | 平成13年1月18日 |
資本金 | 1億円 |
役 員 | 代表取締役社長 中川 次夫 |
従業員数 | 120名 |
事業内容 | 事業者金融業 |
登録番号 | 関東財務局長(6)第01262号 |
所在地、設立年月日、資本金と共通する項目が多いですね。
次にアイフルのIRをチェックしてみましょう。次のリンク先にある2018年3月期の欄の、いちばん右側「2018年3月」とあるPDFファイルを開き、「ビジネクスト」で検索をしてみてください。同社経常利益及び純利益が記載された部分がハイライトされます。
アイフル 企業・IR情報 | 財務情報 | データブック
では、A社とビジネクスト社のデータを比較します
A社(Funds案件詳細より)
・経常損益 -252百万円
・純利益 ー438百万円
ビジネクスト社(アイフルIRより)
・経常損益 -252百万円
・純利益 ー438百万円
はい、これもう特定できたといっていいでしょう。
※あくまで私個人の推測です。データを並べただけであり、結果を担保するものではなく、各自自己責任の上で情報を判断してください。
ちなみに私は申し込みが間に合いませんでした。次回に期待。
参考ですが、BlackRockが取り扱うETF「iシェアーズ 米ドル建て投資適格社債 ETF(為替ヘッジあり)」は、構成銘柄の大半が信用格付BBB以上であり、2019/01/21付分配金利回りは3.14%となっています。こちらは元本変動があり、信託報酬だけでなく為替ヘッジコストが発生しますけどね。