今週の人気記事

2019/01/22

SBISL 不動産担保ローン事業者ファンド 考察

私が行っている資産運用の一つであるソーシャルレンディング、いくつかある事業者のうち、メインで投資しているSBIソーシャルレンディングの主力商品の一つである不動産担保ローン事業者ファンドについて考察を行いたいと思います。
※注意!あくまで私個人の見解です、詳細は公式サイトにてご確認を!!

・常時募集の「無印」と、オーダーメイドファンドの「Plus」について
投資スキームはどちらも同じであり、複数の不動産担保ローン事業者(おそらくノンバンク)へ貸し付けを行い、不動産担保ローン事業者がその資金を運用(第三債務者へ貸し付け)を行うというものです。
投資資金に対する保全は、以下のようになっていると理解しております。(個人の理解)

・ローン事業者は第三債務者の保有する不動産を担保にして貸付
・ローン事業者から第三債務者への貸付上限は担保不動産評価額の70%
・SBISLは上記貸付債権へ質権を設定
・SBISLからローン事業者への貸付はリコースローンである(SBISLへ確認済み)

上記内容のうち「リコースローン」であるという点が重要であると私は考えております。ローン事業者は複数の第三債務者へ貸し付けを行いますが、その中の1案件が焦げ付いたとき、他案件から得られた利益でもってSBISLへ返済を行わなければならないからです。これにより投資家が負担するリスクが大きく軽減されることでしょう。
他事業者、例えば業界最王手のmaneoは殆どの案件がノンリコースローンであるため、中間ノンバンクのリスクが限定的となり、その分投資家がリスクを負わなければならないでしょう。

・「無印」と「Plus」の予定利回りの差について
常時募集である「無印」は3.2~4.7%、14か月運用の変動制、運用開始後に確定となります。一方オーダーメイド型である「Plus」は、一部例外もありましたが、ほぼ6.5%、12ヵ月運用となっています。
投資スキームが全く同一であり、事実上「Plus」の完全下位互換である「無印」へ投資する理由が無いように見えますね。
利回りの違いについて「両ファンドにリスクの差はあるのか」とSBISLへ問い合わせを行いました。回答いただいた内容を以下へ添付します。


-----------------------------------------------------

「不動産担保ローン事業者ファンドPuls」と「不動産担保ローン事業者ファンド(ファンド番号J)」の
利回りの差につきましては、借手様の資金需要の高さによるものとして
何卒ご理解をいただけますようお願い申し上げます。
弊社仕組み上、借手様の資金需要が高くとも投資家様からのご出資がなければ
ご融資できかねます為、その点も踏まえ、貸付金利につきましても借手様との相談のうえ、
設定させていただいております。

-----------------------------------------------------


投資スキームは同じですがローン事業者からの大きな資金需要にこたえるため、利回りを高くして資金を集めやすくするという理由のようです。とはいえ、「金利が高くなってもいいからもっとたくさん貸してください」と言ってくるのは、やはり多少リスクのある案件なのではないかなー、と個人的に感じています。
でもやっぱり「無印」へ投資するメリットが少なく、「Plus」募集を待って投資すればいいよね、となりそうですが、実はあまり話題とならない重要なファクターがあります。
・「Plus」は繰り上げ償還が多く、実質利回りはそれほど高くない。
私は本年「Plus」シリーズへ延べ360万投資しましたが、概算での税引き前利回りは約4.2%に留まっています。これは繰上返済が多く資金待期期間を含めた平均運用率の低下によるものです。


一例をあげましょう。
不動産担保ローン事業者ファンドPlus10号は6.5%/12ヶ月運用の予定で1月10日に募集されました。私は即日申し込み、当日に振込手続きを行いました。しかしこのファンドは僅か1か月の運用で繰り上げ償還となり、3月15日に返済されました。この間64日。
その為資金拘束期間を含めた年換算実質利回りは税引前2.8%となりました。
実際、どれくらいの運用率となるかデータを纏めてみました。


・無印 募集要項の運用期間を基準とし、直近14か月を集計
募集額 5,781百万円
運用中 3,182百万円
運用率 55.1%


・Plus 募集要項の運用期間を基準とし、直近12か月を集計
募集額 13,183百万円
運用中 *5,608百万円
運用率 42.5%


以上のデータから、ローン事業者は金利の高いPlusシリーズは早期に繰り上げ返済したいう意向が見え、実際その通りにしており、実質利回りはそれほどではないということが分かるかと思います。

とはいえ、「無印」も最近の運用実績を見ると運用開始時の予定利回りが3%台半ばと低迷しており、トータルで見れば「無印」の方が実質利回りが低くなると思います。(無印の実質利回りについてはデータが手元にないため検証できず)
リスクとリターン、それぞれを天秤にかけ、どのSL事業者、どのファンドへ投資するかの参考にしていただければと思います。